磯釣り・フカセ釣りで狙う魚たちは、やってみると意外に難しくなかなか簡単に釣ることができません。
そんな難しさが磯釣りの醍醐味、魅力だったりしますが、やはり釣れないととがっかりしちゃいますよね。実際に私がそうだったのですが、磯釣りを始めて間もない初心者の頃は坊主も多く、そのたびに心が折れて磯釣り自体をあきらめようかと考えていたこともありました。
そんな磯釣り初心者こそ「夜の磯釣り」をおすすめします。
私自身、釣りにハマって約10年、サビキ釣から始まり、ちょい投げ、ショアジギング、ぶっこみ釣り、磯釣りと広く浅く釣りを楽しんできました。
最初は小魚が釣れても嬉しいものでしたが、段々と大物が釣りたくなってきますよね?
そこで私は、磯釣りに挑戦しましたが大きな魚は釣れず、いつまでたっても初心者から抜け出せない状態でした。
そんな時、釣り雑誌に紹介されていた夜の磯釣りに挑戦したところ、簡単に大きな魚と釣ることができたのです。夜の磯釣りを本格的に始めて5年ですが、日中では釣れることのできなかった大きなメジナ、クロダイ、さらには夜ならではのイサキやフエダイといった魚も釣ることができるようになりました。
坊主は全くないとは言いませんが、安定した釣果が得られるようになり、美味しい魚を家族に持ち帰ることもできています。
当然良いことばかりではなく、夜ならではの危険性もあります。
今回は、そんな夜の磯釣りの釣れる理由、釣れる魚、適した時期、注意点について詳しく解説していきます。
これから夜の磯釣りを始めてみたいと考えている方々はぜひ参考にしていただければと思います。
夜の磯釣りはフカセ釣り初心者でも釣れるの?
夜の磯釣りは、昼間に比べて簡単にフカセ釣りの本命であるメジナ、クロダイ等が釣れます。その理由について詳しく解説していきます。
夜の磯釣りってそんなに簡単に釣れるの?
昼間よりも驚くほど簡単に釣れるよ!ぜひ挑戦してみてね。
理由その1:エサ取りが少ない
夜になると、フグ、小サバ、小メジナといった小魚、いわゆるエサ取りがおとなしくなります。
エサ取りが少ないと、エサ取りを回避するテクニックは必要ないため、本命の魚にエサが届きやすくなります。つまり初心者でも釣れやすくなるということですね。
昔、夜に釣りをしていた時に、足元の水深30cmほどのミゾでじっとしている小メジナを見たことがあります。指でチョンと触れたほどなので、寝ていたのだと思います。
同じメジナでも大きな個体は夜に活発になるので、人間と同じように子供=小魚は早く寝てしまうのでしょうね。
ただし、夜になると活発になる小魚もいます。ハタンポやスズメダイといった小魚たちです。
この子たちが集団で現れると少し厄介ですが、回避する方法もあります。のちに解説していきたいと思います。
理由その2:魚の警戒心が薄れる
魚は警戒心が薄れると初心者でも簡単に釣れます。
日中などの水中が良く見える状況は、魚にとってより大型の捕食魚に狙われる可能性もあるため、警戒心も高くなります。
そのため、釣り人は道糸、ハリス、ハリを小さくし、魚に違和感を抱かせないようにあらゆるテクニックを駆使する必要があるため、初心者ではなかなか大きな魚を釣ることができません。
夜は、暗闇によって「視覚」が制限されるため、魚も大胆にエサを求めるので、テクニックはあまり必要はなく、初心者でも釣ることができます。
また、昼は主に「視覚」によって探していたエサも、夜は主に「嗅覚」で探すことになります。
ライン、針によって不自然な動きをするエサであっても、夜では視界も悪く、匂いを頼りにエサを探すため、付け餌だと気づかずに食べてくることが多いのです。
夜釣りの中でも、月明かりのある満月に比べて、真っ暗な新月の方があきらかに魚の食いがよく、暗闇は魚の警戒心を薄れさせる効果があります。
理由その3:釣り人が少ない
夜釣りは、昼に比べて釣り人が少ないこともメリットです。
昼ではなかなか入れないような人気の磯でも、夜は比較的すいているため、釣り場難民になることも少なくなります。
自分の好きな磯に入って周りの目を気にすることなく、のんびりと釣りが楽しめます。
また、人が少なく静かで落ち着いた環境は、魚に対するプレッシャーも少なくなるため、初心者であっても釣果も期待できます。
理由その4:夜ならではの魚が釣れる
イサキやメバルといった夜行性であったり日中は沖にいるような魚でも、夜になると活発に動き出し、エサを求めて接岸してきます。そのため、夜は多種多様な魚が釣れます。
メジナのように昼に釣れる魚であっても、大型の個体は日中は岩陰に潜み、夜になるとエサを求めて動き回ります。
そのため、日中ではなかなかお目に掛かれないような魚種・サイズが、夜釣りでは初心者でも普通に釣ることが可能です。
どんな魚が釣れるのか
では、実際にどのような魚が釣れるのか。私が過去に釣った魚たちを紹介していきます。
本命の魚たち
釣れてうれしい「本命の魚」です。人それぞれではありますが、私が釣れたら持って帰る魚たちを紹介したいと思います。
メジナ(口太)
まずはフカセ釣りといえばメジナ(口太)です。
関西ではグレとも言いますね。手の平サイズから50cmを超える大物までいます。日本記録は67.5cm、6.85kgらしいです。化け物ですね。
私のよく行く館山の地磯では夜だと35cm~45cmが主体です。40cmを超えるとパワフルな引きで楽しませてくれます。
また、私が夜の磯釣りにハマるきっかけになった魚でもあります。
当時、メジナの40オーバーを目標にしていた私は、ある釣り雑誌で夜の磯釣りの記事をみつけました。その記事によると、私のよく通っていた館山のある地磯について書かれており、夜釣りであれば、30cm~40cmを主体に、時には40オーバーのメジナが釣れるとのことでした。
正直半信半疑でしたが、だまされたと思って記事の通りに夜釣りで挑戦したところ、開始30分くらいでメジナ40cmが釣れたのです。しかも簡単に。その時は、メジナの40オーバーが2枚、35級が5枚、オジサンが2枚釣れました。しかもこれは1時間くらいの釣果です。
ここまで釣果が恵まれていることは流石に少ないですが、夜の磯釣りには爆発力があるのでぜひ挑戦してみてください。
メジナ(尾長)
フカセ師のターゲットのひとつ尾長です。
尾長は回遊性の高い魚(居着きの個体もいますが)なので沖磯というイメージが強いですが、夜は違います。浅い水深のところでも夜であればエサを求めて岸に寄ってきます。
口太に比べて引きも強く、歯もするどいことから、細い仕掛けでは取り込むのに技量が試されるため、多くのフカセ師を魅了する魚です。
夜の磯釣りでは太く強い仕掛けで挑みますので、尾長であっても取り込める確率はぐんと高まります。
さすがに口太よりは釣れることが少ないですが、掛けた時の引きは段違いです。見た目も口太よりスマートで格好いいシルエットしてますよね。
釣りあげた後に一つ注意点があります。尾長はエラが非常に鋭利で固いため、魚をつかむ際はタオルかフィッシュグリップを使うことをお勧めします。
初めて40オーバーを釣った時に、尾長がはねてエラで指を切ってしまったのは良い教訓となりました。持ち帰って捌く時も同様にエラには注意してください。マジで鋭いです。
クロダイ
クロダイは堤防釣りでも有名なターゲットですね。しかし、夜の磯釣りにハマって通っていた地磯ではなかなか釣れませんでした。
やっぱり夜でも難しい魚なんだなあと思っていましたが、砂地が多い磯で夜釣りしていたところあっさりと釣れましたね。磯にある程度の砂地がある地形の方がよく釣れる魚です。
クロダイはメジナと違い、アタリを捉えるのに少し苦労しますが、掛けた後は非常にファイトしてくれるため、釣って楽しい魚です。夜釣りだと比較的簡単に釣れる魚のひとつです。
場所によっては臭いという話を聞きますが、私の通うフィールドで釣れるクロダイは美味しいです。
イサキ
夜釣りといえばイサキですね。
5月~10月くらいまで釣れる魚で夏の魚というイメージがあります。サイズは20cm~35cmくらいが主体ですね。
カゴ釣りで狙うイメージがありますが、夜ならフカセ釣りで普通に釣れます。
アタリは、ウキがスポーンと勢いよく沈むので、大物かと期待してしまいますが、掛けた後はおとなしく上がってくるので、慣れるとすぐにイサキだと分かりますね。
口が少し弱いので、夜釣りの強いタックルで大合わせするとバレる可能性があるので注意が必要です。
夜は群れで接岸することが多いので、数が釣れることもあります。
刺身、塩焼き、ナメロウと非常に美味しいので、釣れるとうれしい魚の一つです。
オジサン(ホウライヒメジ)
カラフルな色と二本のアゴヒゲが特徴のホウライヒメジです。オジサンともいいますね。
30cm~45cmくらいが主体です。
こちらもイサキと同じく、春から秋くらいまで釣れる魚です。アタリはクロダイのようにジワーっとウキが入っていきます。重量感はありますが引きはそれほどでもありません。
たまにでかい個体が釣れるので抜き上げるときに少しヒヤヒヤします。
愛称であるオジサンが示す通り、あごに2本のヒゲが生えています。
美味しくないと食べない人もいるようですが、刺身、煮つけと家族にも好評で個人的には非常に美味しい魚という認識です。喜んで持って帰りますね。
個体によっては臭いのもいるみたいですけどね。
メバル
夜釣りと言えばメバルですが、私がよく通う磯ではあまり釣れないです。
尺(30cm)越えを釣ったことありますが、同じサイズのメジナ40オーバーのような引きがだったことを覚えています。もしかするとその個体の引きが強いだけかもしれませんが・・・。
尺ともなると目の大きさもすごいので、びっくりした覚えがあります。
コショウダイ
そんなにたくさん釣れるわけではありませんが、夜釣りではコショウダイも釣れちゃいます。
タイという名前が付いていますが、スズキ目イサキ科なんですね。ん?イサキ?似ていないけどな。
見た目は確かにタイに似ていなくもないですが、クチビルがコイのように分厚い魚です。
アタリはウキがジワーっと入るクロダイのような感じですが、掛けた後は相当引きます。45cmほどのコショウダイを釣ったことがありますが、3号磯竿でも抜けるか心配なくらいの重量感でした。
この魚は、皮と身の間やエラに「ディディモゾイド」という寄生虫が付いていることが多いです。人体には無害ですが、見た目が気持ち悪いのでコショウダイ自体を食べない人もいるようです。最初見たときはびっくりすると思います。
ですが、味はかなりおいしいので、釣れたら是非持って帰ってほしいです。「ディディモゾイド」を除去する手間はありますが、それに見合った味だと断言できます。
ヒラスズキ
ルアーで狙うイメージのあるヒラスズキ。ですが、夜の磯釣りだとフカセ釣りで釣れちゃいます。
一般的に有名なスズキ(マルスズキとも言いますね)とは違い、ヒラスズキは淡水域に入ることは少ないので、磯釣りならではの魚です。
ヒラスズキは、非常に警戒心が高くサラシの中でエサを待ち構えて捕食します。荒れた海の方が釣果が出やすいことから、釣るのに非常に危険が伴うことから「荒磯の王者」とも呼ばれています。
ですが、私が磯釣りで釣った時は、夜で凪の状況でした。時期は秋だったと思います。
やはり夜の磯釣りは、警戒心の高い魚でも比較的簡単に釣れるんだなと実感できます。
旬は秋から冬で、臭みは全くなく白身で非常に美味しい魚です。
コロダイ・ハマフエフキ
・・・すいません、実はまだ釣ったことはないです。
ただ、コロダイ、ハマフエフキともに夜の磯釣りではかなり有名な魚たちですね。千葉県だとコロダイの方がよく釣れると聞きます。
過去に6号の道糸が瞬殺されたことがありましたが、このどちらかの魚ではないかと思っています。
特にハマフエフキは「海のダンプカー」とも言いますからね。伊豆大島では堤防からも釣れたりするみたいですね。
釣ることができたら、ここに情報を上げていきたいと思います。
フエダイ
最近は房総半島でも釣れるようになってきたフエダイです。これもかなり引きが強い魚です。
私はまだ30cmくらいまでしか釣ったことはないですが、40cmくらいからは脂も乗って非常に美味だそうです。かなりの高級魚ですよね。
オキアミではなくキビナゴ等の身エサに食ってくることが多いです。
アカハタ・カサゴ・ソイ
夜は根魚がよく釣れます。オキアミにも身エサにも食ってきます。
ただ、根魚がよく釣れるときはタナがベタ底になっている可能性もあります。その場合は、メジナ、クロダイがあまり釣れません。根魚ばかり釣れるようなら、狙う位置を変えるかタナを少し上げるかした方が良いかと思います。
大きいアカハタは酒蒸しにすると絶品です。
食いしん坊なのか、小さな個体でも積極的にエサに食いついてくるイメージです。
根魚は成長速度が遅いので、小さな個体は逃がしてあげてください。食べるところもあまりないですしね。
外道の魚たち
夜釣りで釣れてちょっとがっかりする「外道の魚」を紹介します。人によっては持ち帰る魚もいますので、一概に外道とは言えないかもしれません。
イスズミ
あまり釣りたくはないイスズミですが、掛かればパワフルな引きはなかなか病みつきになります。私のよくいく館山の磯では幸いにもそんなに釣れることはないです。
釣った時にウ〇コを漏らしていることが多いので「ババタレ」とか呼ばれたりもしますね。体格はメジナに似ていますが、色が白っぽいのですぐにイスズミだと分かります。
蛇足ですが、伊豆大島では臭いイスズミの小腸を食べるそうですw ただし冬限定みたいですけどね。
アイゴ
背びれなどに毒があるので有名なアイゴです。
引きはイスズミと同様にかなり強いです。夜釣りでは海から直接抜き上げることが多いため、うっかり手でキャッチしないように注意してください。
背びれ等の毒、内臓が臭く見た目も良くないので、外道としてリリース対象ですが、調理次第では美味しいので持って帰る人もいますね。
私は刺されたことがないのでわかりませんが、相当痛いみたいなので持ち帰る場合はくれぐれも注意してください。
タカノハダイ
なかなか良い引きをするので本命かと喜んで、姿を見てがっかりするタカノハダイです。
また、タカノハダイが釣れると潮が悪いとも言われるので、釣っていい気分には慣れない魚でもありますね。
縦じまにしっぽの斑点とよく見るとすごい模様の魚です。
大きさのわりに身も少なく、鱗も鎧のように頑丈なので、捌くのに非常に苦労した覚えがあります。なので私はどんなに大きくてもリリースしちゃいます。
ですが、味は悪くないという話も聞くので、チャレンジしてみてもいいかもしれません。
フグ
夜でもたまに釣れるフグです。基本的には釣れないので安心してください。
夜明けに近くにフグが釣れだすと夜釣り終了のサインとしても使えますね。
釣った後、必死に膨らむ姿は結構癒されますよね。
フグはそのするどい歯でハリスごと切ってしまうことが多いので、フカセ釣り師には嫌われています。夜釣りでは太いハリスを使っているので切られることはないですが、釣った後はハリスが傷ついている可能性もあるので、よく確認してください。
夜の磯釣りに適した時期
夜の磯釣りに適した時期は、春、夏、秋です。
冬はそもそも寒いので、夜釣りには向いていません。また、冬は夜に外気温がぐっと下がるため、浅い磯は影響を受けて水温が低下しやすく、狙う魚たちの活性も下がります。
逆に初夏から秋は、イサキ、フエダイ、コショウダイといった夏の魚が浅場に入ってきますので、夜釣りには非常に向いています。
春は水温が安定しないため、釣果も安定しないことが多いですね。
冬はエサ取りも少ないので、割り切って日中の磯釣りを楽しむことをお勧めします。
夜の磯釣りに注意する点
多種多彩で大きな魚が釣れる魅力的な夜の磯釣りですが、当然デメリットもあります。
危険がある
夜は暗くて視界も制限されますし、磯も堤防と違って足場も悪いので危険性があります。
そのため、ヘッドライトは必需品ですし、フィッシングブーツ、ライフジャケット等の身の安全を守る装備は日中よりも重要です。
海への転落など万が一もありますので、単独釣行は避けてできるだけ複数人数で釣りを行ってください。
釣り中のトラブルが発生しやすい
夜間は暗いため、日中に比べてトラブルが発生しやすいです。
特に多いのは、竿の先端にラインが絡んだり、根にラインが引っ掛かるなどのトラブルです。慣れるまでは、ラインの状態や地形をしっかり把握しておくことが重要です。
また、電池切れトラブルも夜釣りには致命的です。ヘッドライトや電気ウキの電池が切れるとそこで夜釣りは終了してしまいます。電池の予備は多めに持っていきましょう。
特に電気ウキはロストすると電池も同時に失いますので、電気ウキの予備の数だけ電池を用意してください。
虫が多い
磯特有のヌカカは刺されたその日はそこまで痒くないですが、次の日から猛烈なかゆみが襲ってきます。人によっては1週間痒みが続くこともあり、通常の蚊と違って侮ることはできません。
暖かくなる季節に多く発生しますが、場所によっては5月から10月くらいまでは磯に発生します。
大きさは蚊よりも小さく、時には集団でまとわりついてきます。特に白ライトをつけると寄ってきますね。
しかも日中よりも夜の方がヌカカが多いです。肌の露出はできるだけ避けて、虫よけスプレーを活用するなど対策は必須です。
風が強い日や雨の日は逆にいないので、結構楽なんですけどね。
まとめ
今回は、フカセ釣り初心者向けに「夜の磯釣り」が釣れる理由と釣れる魚たちを解説しました。
夜の磯釣りはなかなかよさそうだね。早速やってみたい!
昼ではあんなに難しかった磯釣りも、夜だと簡単に釣れるからオススメですよ。
次は「夜の磯釣り」に必要なタックルと装備を解説していきます。
興味ある方ぜひ読んでみてください。
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